インドの最新ブロックチェーン事情(その2)


インドでの仮想通貨取引禁止の是非については、未だ最高裁判所において争われています。最新のアップデートでは、10月22日に行われる審問において、何らかの判断が出る可能性があると言われています。一方で、仮想通貨取引所のUnocoinは、インド初の仮想通貨ATMを設置すると発表しています。今回も前回に引き続き、インドで既に導入が始まっているブロックチェーン関連のサービスについていくつかご紹介します。

西ベンガル州自治体における出生証明書への活用

西ベンガル州の自治体「Bankura」及び「Dergapur」では、市民による出生証明書の申請取得がブロックチェーン技術によって可能になる予定です。

同プロジェクトでは、オランダ企業の「Lynked World」のID認証プラットフォームを活用しています。同社はウォレット機能を要したアプリケーションを介して、金融機関・教育機関・職場などにQRコードを通じてID認証情報を提供しています。ユーザーは自身のID情報(氏名、住所、生年月日など)を公開せずに、自身のID認証を受けることが可能になります。


【出典】Lynked.World

偽造薬検知への活用

インド政府系シンクタンク「Niti Aayog」とオラクル、アポロ病院(インド民間病院チェーン)は、流通する偽造薬検知に向けて、ブロックチェーン技術とIoTデバイスを活用するプロジェクトを立ち上げました。

ブロックチェーン技術を使用し、製薬企業から最終消費者に至るまで、全ての流通過程の記録を保存し、改ざんの余地をなくします。万が一、流通過程において不審な情報が発見された場合には、速やかに関連当局に通知される仕組みになっています。また、ワクチンなどの温度管理が必要な医薬品に関しては、IoTデバイスを活用しその流通過程での全ての温度管理情報などを記録します。インドの医薬品製造量は世界第3位、世界の総生産量の10%を占めると言われており、偽造薬に関する取り組みは非常に重要です。

その他では、カーシェアリングのDrivezy社が暗号トークンを発行し、暗号トークンに紐づいた資産(車)から生じる売上の一部を同社と投資家で分配する仕組みを、スマートコントラクト機能を通じて提供しています。これは非常にインドにおいては先進的な仕組みであり、今後同社のような取り組みやサービスを提供している企業が増えていくことが期待されます。

インドでのブロックチェーン技術の発達は、仮想通貨取引の取り扱い及びその他の政府の関連規制の整備など多くの変動要因がありますが、引き続きその発展に注目していきたいと考えています。


鈴木慎太郎
鈴木慎太郎


米国公認会計士。SGC(スズキグローバルコンサルティング)代表。2010年5月よりニューデリー(インド)在住。40社以上のインド拠点設立、100社以上のインド・会計税務にかかるコンサルティングに従事。2016年よりスズキグローバルコンサルティングを設立し独立。日本企業向けにワンストップでインドの拠点設立・会計・税務・法務をカバーする総合コンサルティング事務所を経営。 URL: https://www.suzuki-gc.com

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