第四次ベンチャーブーム分析【第1回】はじめに


「第四次ベンチャーブーム分析」では、現代の日本で次々と誕生し、多種多様な分野から新しい時代を切り開いているベンチャー企業たちの成り立ちや動向を追い、第一次ベンチャーブームから第四次ベンチャーブームの現在に至るまでの歴史とともに、様々な観点から分析していきたいと思います。

本連載におけるベンチャー企業とは、新しい技術や新しいビジネスモデルを中核とする新規事業により、急速な成長を目指す新興企業(中小企業)を指します。

AI、IoT、FinTech、宇宙やバイオテクノロジー。連日のように紙面を賑わしているベンチャー企業による新技術の開発やそれに伴う多額の資金調達のニュースの数々でも分かるように、現在の日本では、第四次ベンチャーブームが訪れています。

第四次ベンチャーブームを読み解いていくにあたって、本連載第一回目では、これまでに過去3回も訪れている「ベンチャーブーム」とは一体どういうものだったのかを当時の時代背景とともに追っていきたいと思います。

その始めとなる第一次ベンチャーブームは1970年頃から始まりました。高度経済成長期の頂点にあり、列島改造ブームによる投資意欲の向上や脱サラによる独立開業の増加の時代を背景に多くのベンチャー企業が設立されました。また、1963年の中小企業投資育成会社の設立や日本証券業協会による店頭公開制度(現在のJASDAQ市場)の創設、多くのベンチャーキャピタルや支援事業の立ち上げもこのベンチャーブームの一つの要因であると考えられます。

キーエンス、日本電産、すかいらーく、アデランスや大塚家具などといった現在では誰もが知っているような企業がこの頃に設立されています。しかし、時代を切り開いたベンチャーブームも、1973年の第一次石油ショックによる不況により終焉を迎えました。

第一次ベンチャーブームの終焉から10年後の1983年、株式公開基準の緩和による追い風により第二次ベンチャーブームが到来しました。それまでの重圧長大型の製造業から流通・サービス業へ産業構造が変わりつつある中でのブームの到来となりました。ベンチャー・スタートアップで有名な米国・シリコンバレーにベンチャーブームが到来したのもこの頃でした。

前述した産業構造の変化によりイノベーションを求める機運が高まっていたこともあり、エレクトロニクスや新素材、バイオテクノロジーの分野でのベンチャー企業の設立が多くみられました。

ソフトバンク、エイチ・アイ・エス、スクウェア、CCCやアイフルホームなどがこの頃に設立されています。しかし、このブームも長くは続かず、1985年のプラザ合意による円高不況により、大型ベンチャーの倒産が相次ぎ、終焉を迎えることになりました。

これまで述べた第一次と第二次の二つのベンチャーブームとは異なる形で火が付いたのが1990年代から起きた第三次ベンチャーブームです。

どの点が異なるのかというと、第一次、第二次のベンチャーブームはいずれも好景気を背景に始まり、不況により終焉を迎えました。しかし、第三次ベンチャーブームはバブル経済の崩壊後である1991年頃に、長期不況のなかでそのブームに火が付きました。

この第三次ベンチャーブームのもう一つの特徴は、前述の二つのブームとは異なり、10年以上もの長期間続いたということです。

この第三次ベンチャーブームが起こった理由としては、政府による規制緩和をはじめとする「ベンチャー優遇政策」の打ち出しにあります。とくに1995年の「中小企業創造法の施行」や「第二店頭市場の開設」など、行政が主導することでバブル経済の崩壊による企業数の激減を防ごうとしていました。様々なベンチャー支援策が講じられる中、東証マザーズ市場や札幌アンビシャス市場が開設されたのもこの頃です。

この頃に誕生した代表的なベンチャー企業といえば楽天、光通信、GMO、サイバーエージェントやDeNAと今も名だたるIT企業で、同時期の米国でもAmazon、GoogleやYahooなどがあり、時代はまさにITバブルでした。10年ほど続いたこのベンチャーブームも2004年頃のネットバブルの崩壊や、ライブドアなどのベンチャー企業の不祥事により終焉を迎えました。

第一次から第三次までの壮大なベンチャーブームを経験し成長した日本市場も、2013年頃からの金融緩和、官製ファンドやCVCの相次ぐ設立、大企業からベンチャー企業へのリスクマネーの投入、IT技術の普及によるインフラコストの低下などを要因として現在まで続く第四次ベンチャーブームが始まりました。

日本企業にとって欠かせない課題として、グローバル化への対応がありますが、大企業が担えない柔軟な対応やニッチな市場への進出、イノベーションをベンチャー企業は求められています。


奥間蓮
奥間蓮

株式会社スーツ アソシエイト
経営支援を行う株式会社スーツで、株式上場を目指すクライアント企業の内部管理体制の強化など上場準備業務を中心に活躍。

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