投票率を上げる方法


投票する有権者・棄権する有権者

特に投票率の低下を食い止めるために、期日前投票の条件緩和、ネット投票の検討など、投票へのアクセス向上の観点から様々な対策が模索されていますが、長期的な投票率の低下には歯止めがかかっていません。
有権者の意識の低さが問題点とされる論調が多々見受けられますが、筆者は、政治(特に地方自治)が示せる選択肢の少なさが投票率の低さにつながっていると考えています。
投票率は農家、地場産業従事者、地域コミュニティ参加者が相対的に多い地域で高く、都市部の会社員などの無党派層は低くなります。メディアが取り上げる国政は、無党派の関心も高まりますが、地方選挙は行政の動向に生活を強く左右され、何らかの形で支援を得ている有権者によって独占されているといっても過言ではないでしょう。

無党派層の政治参加

興味を持たせていくために、無党派層を行政や地域コミュニティに巻き込んでいく政策がしきりに議論されますが、無党派層も含むすべての住民の関心事項に対応していこうとすれば、際限なく政策は広がっていきます。
無理に行政と深いかかわりを持たなくても生活に支障のない人々に行政との接点を強くしようとする必要はありません。
こうした人々は、「納税」という形で政治に参加しています。行政からの支援や政策を希望しないのならば、事業を整理することで得た利益を、減税や「規制緩和」という形で還元していくという選択肢を示すことはできないでしょうか。

投票の意義

投票する意義は、政治家という代表者を通じて、税と財政に納税者の理解を得ることが本来の目的でした。自由民権運動のきっかけになった「民選議員設立建白書」の中にも『夫れ人民政府に対して租税を払ふの義務ある者は、乃其政府の事を与知(よち)可否(かひ)するの権理を有す』とあります。その後の歴史の中で公共投資や許認可という手段で、一部の有権者に税を還元するという方法で行政との妥協点がはかられ、減税や規制緩和といった発想そのものを奪ってしまったように思えます。
投票率の低下は、長年取られてきた政治家と行政の妥協策の行き詰まりのように思えてなりません。投票の基本理念に立ち返り、有権者に多様な選択肢を期待したいところです。


保坂康平
保坂康平


早稲田大学社会科学部社会科学科卒業。在学中から地方議員へのインターンシップや選挙ボランティア、自治体からの委託業務に携わり、地方行政の現場を経験。卒業後はシークス株式会社(一部上場大手EMS商社)に入社。グローバルに展開されていく最先端のビジネスに携わる。一児の父、共働き家庭として、会社員生活の中で改めて感じた地方行政と市民との意識のずれを問題意識に提言を続けている。

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