新時代の行政改革【第1回】AI時代の行政改革?


相変わらず、しかし、少しは進んでいる。もっと加速できるはず。
今回から「新時代の行政改革」という連載を始めます。

そのきっかけは総務省の「地方公共団体における行政改革の取組」を見て、正直のところびっくりしたからだ。

・道路管理システムへのAIの活用
・チャットアプリ「LINE」
・マイナンバーカードを活用した行政改革(属性に応じた情報提供)母子手帳の情報を自身のパソコンやスマートフォンで確認
・死亡関連手続に一元的に対応する総合窓口の導入

などとても素晴らしい事例が満載である。

特に渋谷区。子育て支援分野情報のセグメント配信(属性情報等に基づき、ターゲットを絞って配信)をしていて、「幼児食講習会のご案内」「平成30年4月保育園入園申し込み受付」などをしたそうだ。入力された質問・問い合わせに対し、チャットによる対話形式によって自動応答しているそうだ。下写真のように。


【参照】総務省「地方公共団体における行政改革の取組」P3

これは素晴らしい!

筆者の経験である某自治体のチャットアプリに質問を先日してみた。「1時間以内に回答します」と言われて最初の質問をして、簡単な回答をいただいて以来、聞き返されていないし、10日以上連絡を貰えてない経験を持っている(笑)。その自治体さんは、渋谷区に学ぶべきだろう(身に覚えのある方はご対応いただけますと幸いです(^^)/~~~)。

死亡関連時のワンストップサービス

また、秀逸なのは、別府市や松阪市の「おくやみコーナー」。死亡関連手続に一元的に対応する総合窓口を開設するというもの。一番つらい時にたらいまわしになる、もっとも典型的なお役所仕事だと筆者がずっと改革を叫んでいた事例。当然手続き時間も短縮され、利用者満足が上がったというのもうなづける。

別府市では

「「どこでなにをしたらいいのかわからない」という遺族の心理的負担軽減につながった。作成した届出書等、全ての情報はコーナーと課が共有。担当課は、事前準備ができるため、受付時間の短縮が実現されている。
(各課3割程度の短縮)」(総務省資料より)

という成果が報告されている。


【参照】総務省「地方公共団体における行政改革の取組」P12

辛そうな人の助けになる時に支えになってあげることこそ行政職員の力の見せ所だし、税金を長年支払ってきてくれたことへのお礼もある。もっと広まってほしいと願っている。

しかも、ここで空き家関係などの調査もしてしまうことが大事なのではないかなと思うのだ。その際は、このタイミングでできることを考えて欲しいとも期待している。

まとめると

で、これらの事例にして「びっくりした」理由は3つ。

第一に、先端技術を活用した面白い事例がいろいろ出ていること。最近は改革の現場から(ほぼ)離れている筆者としてはやっとこういったことができるようになったのか、という意味で感慨深い。

千葉市では「市内で点検・補修が必要な道路の画像を、市の専門職員が損傷判定→専門職員の損傷判定、結果を教師データとする機械学習により、画像から路面の損傷程度を自動分類する研究を実施」とのこと。AIの活用については以前導入をかなり検討していたものだが、この視点はあまりなかった。

第二に、成果が見えないこと。研究や推進レベルにとどまっていること。研究レベルであって、「改革事例」というのは烏滸がましいレベルである。

こうした事例集を集めるのが仕事というのは羨ましい限りだが、「職場における能率向上(フリーアドレスの導入)」なんて、何十年前からもできたはずだし、やろうと言っていた人もいた。10年前と考えていることはたいしてかわらない。実行がキーワードのはずだが、研究でとどまっていることが多くもったいない。

第三に、RPA。自治体行政へのRPAの活用(行政事務・庶務業務の省力化)。何とも言い難い記述を前に唖然とした。ここでも書いたが「働き方改革」で注目されるのは当然だし、もうちょっと深堀する必要がありそうだ。この連載で詳細に見ていきたいと思う。


西村健
西村健

人材育成コンサルタント、NPO法人日本公共利益研究所(JIPII:ジピー)代表、事業創造大学院大学 国際公共政策研究所 研究員・ディレクター、一般社団法人日本経営協会講師、未来学者。
慶應義塾大学院修了後、アクセンチュア入社。 その後、日本能率協会コンサルティングで経営・業務改革、人材育成、能力開発を支援してきた。独立後、人事評価制度構築・運用、キャリアカウンセリングなどのコンサルタントとして活動中。最近はプレゼンテーション向上、モチベーション施策などに注力。

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