ミャンマー・ビジネス最前線【第2回】 現場を知ることの重要性~ミャンマーで起こっていること


ラストフロンティアーと言われ、日系企業が多数視察に訪れ、またニュース等でロヒンギャの問題が最近、取りざたされているミャンマーについての二回目のコラムです。

ミャンマーで仕事をするようになって早4年、毎月1週間ほどマンダレーに滞在しているが、来るたびに発見がある。

【出典】ミャンマー地図、http://www.apex-asia.co.jp/area/myanmarより

この3,4年で軍事政権から民主政権に変わり、生活水準は確実に向上してきた。マンダレーでは少しずつ高層ビルも増え、屋上にスカイバーを作るところも出てきた。しかし、相変わらず貧富の差は激しい。

【出典】スカイバーからの風景

華僑、いわゆる中国人をルーツとして持つ人たちが、ここマンダレーでは富裕層である。彼らはファミリー企業を経営している。業種は様々であるが、ヤンゴンやバンコクの財閥のように地元で圧倒的な発言権を持っている。中古ではあるものの自家用車もBMWやジャガー、レクサスに乗っている人もおり、子供達は欧米、豪州、シンガポールの高校や大学に通っている。当然、英会話は堪能であり、英才教育も受けている。

一方でワーカーレベルの人たちは、いつまでもワーカーであり、中等教育までしか受けていない人達も少なくなく、仕事も長続きしないことも多い。
シンガポール、マレーシア、タイへ不法就労として出稼ぎに行っている人たちもまだまだ多い。これはまだミャンマーに大きな産業がないことに起因している。ヤンゴン郊外にティラワ工業団地ができ、スズキ自動車を始め、大企業の進出も開始されたが、タイのように自動車集積産業のようなインパクトにはほど遠い。よって、全体的な生活水準は大きく上がらず、輸入超過によるミャンマー・チャットの貨幣価値の低迷している。暑い国の男の人はあまり働かないという通説もここでも正しく、私が仕事をご一緒させていただいている企業のトップは女性ばかりである。

とはいえ、City mart、Oceanといったスーパーマーケット、g & g、COCOといったスーパーマーケットも増え、良い生活をしたいというニーズは高まり、かつ安全安心な食物への関心は日に日に高まっている。

【出典】マンダレー・ビール(キリン資本が入っているのはミャンマー・ビールです)

【出典】中国同様、朝ご飯は屋台や外食で(こちらはシャン風ヌードル)

国連でロヒンギャ問題、バングラデシュ国境のイスラム教徒迫害が新聞でよく報道されているため、私がミャンマーに仕事に行っていることを知る知人達は、安全なのかとよく聞いてくるが、マンダレー、ヤンゴンにいる限り、全く影響がなく、治安も悪くない。

アウン・サン・スーチー女史は、国際的にロヒンギャ問題で非難を浴びているが、私がマンダレー他で出会った人たちは貧富の差にかかわらず、異口同音に仏教徒のこの国ではイスラム教徒が閉め出されるのは当然であると話される。ロヒンギャはベンガルから来た侵略者であると。これまでの長い歴史もあり、このようなことに我々単一民族の日本人が安易に口を出すべきでなく、ミャンマーの中で解決されないといけないことと思う。

最近日本では、入国管理法や技能実習制度の改正により、ASEANの労働者を工数従事者として招き入れるような動きが強くなってきている。日本人の少子高齢化の加速状況からするとやむを得ないことかもしれないが。しかし、日本人が足りないから外国から工数として労働者を確保するという動きは虫が良すぎると言える。

外国人にとって日本ほど生活しにくい国はないと言える。欧米人には弱いがアジア人には強気な日本人、単一民族なためダイバーシティ意識に欠ける、外国人が増えると治安が悪くなるという意識が強い、また、町中の看板や案内、標識は日本語中心であり、英会話が不得意な人も多い。大学も英語の授業が少なく、優秀なASEANの学生は欧米やシンガポールに進学しているという事実も認識すべきである。

このように日本は外国人にとって大変住みにくい国なのである。日本の機械メーカーにミャンマーに機械を入れて欲しいと頼んでも、物流ルートが難しい、生産技術者がいないので、保守サポートもできないとぞんざいに扱われることも多い。このようなプロダクト・アウト的な志向では、グローバル・ビジネスはうまくいかない。あくまで顧客ファーストであり、顧客の状況にあったサービス提供を目指すべきである。

我々日本人はもっと海外の現場を知り、マインドを変えていかないといけない。少子高齢化で日本のマーケットは基本的に縮小方向である。そのためにもグローバル・ビジネスを成功させないといけないし、このままではグローバルでの日本の地位は下がり続ける。

そうならないように我々は努力して意識を変えていかないといけない。そのような取り組みの一助を担い続けたいものである。

また、外国人がぜひ日本で働きたい、勉強したいという国に我々はしていかないといけない。

【関連リンク】
https://www.go-mirai.jp

JMAホールディングスASEAN推進プロジェクト
http://www.jmahd.co.jp/asean

IIJ Global Reach
https://www.iij.ad.jp/global/column/column78.html

「ミャンマービジネス最前線」連載シリーズ

第1回 「ミャンマービジネス最前線」


野元 伸一郎

みらい株式会社 COO 統括本部ディレクター兼海外・民間チームリーダー
元株式会社 日本能率協会コンサルティング(JMAC)シニア・コンサルタント グローバル開発革新センター センター長 北陸先端科学技術大学院大学 知識科学研究科 博士後期課程修了。専門は開発設計マネジメント革新/イノベーション、技術ロードマップ、開発プロセス革新、プロジェクト・マネジメントで、ASEANビジネス革新のコンサルティング、研修等を推進。最近は日本の地方創生にも挑戦している。 連絡先:shinichiro.nomoto@go-mirai.jp HP: https://www.go-mirai.jp

野元 伸一郎の記事一覧