本物の「未来先取り政党」とは何か


(希望の党HPから引用)

既に国会論戦が始まっており、首相の施政方針演説や野党側の代表質問が行われています。安倍首相の施政方針演説は電波規制改革や韓国への厳しい態度など面白い点もありましたが基本的には規定通りのものだったように思います。

そのため、特に野党側の代表質問についてどのようなものになるかを注目していましたが、正直申し上げてかなりガッカリする内容でした。

特に希望の党の玉木代表の代表質問は、「明治レジームからの脱却」と「未来先取り政党」だったようですが、そのいずれも言葉だけが上滑りしたものであり、代表質問の内容は極めて凡庸かつ支持基盤に配慮した類のものだったと思います。

そもそも「明治レジームの脱却」、つまり中央集権体制の脱却を謳いながら、その演説内容の大半が、金融課税強化、労働法制強化、保育園・介護・農家へのバラマキ、禁煙規制強化、都市人口流入抑制、エネルギー規制強化、増税を実質的に求める財政再建、など政府による経済・社会介入を求めるものであり、実質的に中央集権体制の強化を求めるものであることは明白です。これらは「明治レジームからの脱却」である地方分権とは全く逆行する中央政府による増税・規制強化そのものでしょう。更に言うなら、外国人労働者の受入れを単純労働者の受入れ問題としてしか捉えていない姿勢に唖然とします。

明治維新後、官僚主導による中央集権路線に対抗したのは、士族・豪農によって支えられた初期の自由民権運動であり、彼らの主張は減税、行政改革、地方分権でした。それらの歴史に一切触れずに、社会主義体制に限りなく近い体制である江戸時代に戻れ、とは愚昧にも程があると思います。

「本物の未来先取り政党」とは、ブロックチェーン、AI、ロボット、3Dプリンター、新素材、そして本格化したグローバル化などを踏まえた、簡素化した政府による力強い社会、を構築する政党のことを指すと思います。これは人々の小さな努力の積み重ねによって構築される繊細な社会であり、肥大化した中央政府や地方政府を技術的に代替し、社会的なコストを分散・極小化することによって成り立つ社会です。

その基盤となる歴史観は明治維新で成立した中央集権制による官僚機構を礼賛するものではなく、むしろ初期の自由民権運動のような自主自立を求める人々による自助努力・相互扶助をベースとするものです。そもそも板垣退助の民選議院設立建白書にあるように、日本の国会は「中央政府の独善を排除し、民間との切磋琢磨を求めて作られた」ものであり、その歴史的な出発点に戻るべきだと思います。したがって、少子高齢化などの眼前の社会課題を解決するために、その課題の元凶となっている中央集権システムを使用するという発想自体が間違いであり、国民の価値観の根本的な革新を伴う変化を打ち出すことが重要です。

中国共産党のような新たな国家資本主義体制に対し、自由主義社会を維持・発展する次世代の姿を示すことが未来先取り政党です。希望の党が主張する支持基盤へのバラマキ重視の堕落した社民主義は、前者の劣化版の政府に隷属する未来への道でしかありません。近い将来、技術の発展が2つの未来、隷属する未来・自由な未来を生み出し、私たちはそのどちらを選択するかという岐路にあると認識するべきです。

未来先取り政党とは、個別の社会事象に対して政権へのアンチテーゼを提出するだけの低レベルな政党ではなく、未来の歴史における対立を予期し、その上で正しい道を切り開くものだと考えます。日本に健全な道、自由を求める政党が成立することを期待します。

 


渡瀬 裕哉
渡瀬 裕哉

パシフィック・アライアンス総研所長
早稲田大学大学院公共経営研究科修了。トランプ大統領当選を世論調査・現地調査などを通じて的中させ、日系・外資系ファンド30社以上にトランプ政権の動向に関するポリティカルアナリシスを提供する国際情勢アナリストとして活躍。ワシントンD.Cで実施される完全非公開・招待制の全米共和党保守派のミーティングである水曜会出席者であり、テキサス州ダラスで行われた数万人規模の保守派集会FREEPACへの日本人唯一の来賓者。著書『トランプの黒幕 共和党保守派の正体』(祥伝社)は、Amazonカテゴリー「アメリカ」1位を獲得。主なメディア出演実績・テレビ朝日「ワイド!スクランブル」、雑誌「プレジデント」「ダイヤモンド」など。

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