ファミリーマートの子ども食堂批判に隠された拝金主義


ファミリーマートが子ども食堂の取り組みを始めるとの発表を受け、社会福祉士の藤田孝典氏がTwitter上で批判的な論評を展開し、物議を醸しだしています。
氏は、民間は拝金主義だとの批判を繰り返していますが、筆者はむしろ氏の論に猛烈な拝金主義を感じざるをえません。

氏の批判のポイントを見ていきましょう。

1.企業の提供するサービスは市民活動の理念や思想は共有できず、マニュアル化した形式的な取り組みになるのではないか。

(以下引用)
『子ども食堂を名乗るのであれば、マニュアル化した形式的な取り組みではなく、先駆者たちの実践(温かい食事、献身的な交流、福祉的支援)に敬意をもって、せめて理念や思想を共有してほしい。
しかし、従来の子ども食堂のような実践にするならば、企業ができる領域でもないと思っている。
全国の子ども食堂を見ていても、温かい食事、献身的な交流、福祉的支援は、市民の主体性・自発性に支えられている。』

マニュアルは、お客へのサービスを最小のコストと労力で最大にしようとする知恵と思いやりの結晶です。決して機械人間を作ることを目的とはしていません。企業はマニュアルを通じて、顧客への温かさ、献身、支援といったサービスを提供したいという理念を共有しようとしており、それは氏が共有してほしいと言っている理念と大きく違うようには思えません。

2.コンビニエンスストアは低賃金でワーキングプアを生み出しておきながら、子ども食堂に参入する資格がないのではないか。

(以下引用)
『コンビニエンスストア、小売業の産業自体が貧困やワーキングプアを再生産していることは執拗に指摘しておかなければならない。』
『ワーキングプアを構造的に発生させながら、子ども支援に取り組む姿は、火をつけながら消火活動をするような印象をどうしても持たざるを得ない。』

コンビニエンスストアの利益率は3%もありません。厳しいやりくりのなかで、なくてはならないサービスを提供しています。最近は営利活動だけでなく、災害ステーションや防犯拠点といった福祉的な役割も果たしています。賃金を少しでも上げると事業そのものの維持が困難になり、コンビニ従業員は就業場所さえなくし、さらなる困窮を招きます。話がそれますが、こうした低賃金産業は、法人税減税で、利益率が上がり、賃金を上げる余地が生まれます。

3.民間の支援が公的支援を後退させるのではないか

(以下引用)
『行政の制度利用によって貧困や生活苦は緩和される。貧困対策の基礎はこのような所得再分配をおこなわなければ、解消することはほとんど見られない。』

民間のサービスの中にも、貧困や生活苦を緩和するサービスは多々あります。例えばネットショッピングをうまく使えば、生活コストを下げることができるでしょう。貧困の背景は様々であり、法の下に画一的に行わざるを得ない公的支援ですべてのケースに対応しようとすればきりがありません。公的支援と民間支援は質の異なるもので、車の両輪としてとらえるべきでしょう。

氏に一貫して欠けているのは「感謝」の気持ちです。営利活動として成り立つのは、提供するサービスに対価を払っても得たいファンが多いからです。そして納税を通じて公的支援や非営利活動を通じて支えています。財源を生む人々への敬意を示さず、ひたすら非営利活動のすばらしさと公的支援の必要性を説いても、すねをかじりの子供のわがままのように聞こえるのは私だけでしょうか。

感謝の介在しない金銭のやり取りは拝金主義です。感謝の対価として得た報酬を税金として徴収し、公的支援に使うのは当然だといわんばかりの論調には傲慢さすら感じます。あまりにまじめに働く人々をないがしろにし、非営利活動への選民意識をむき出しにした拝金主義といわざるを得ません。


保坂康平
保坂康平


早稲田大学社会科学部社会科学科卒業。在学中から地方議員へのインターンシップや選挙ボランティア、自治体からの委託業務に携わり、地方行政の現場を経験。卒業後はシークス株式会社(一部上場大手EMS商社)に入社。グローバルに展開されていく最先端のビジネスに携わる。一児の父、共働き家庭として、会社員生活の中で改めて感じた地方行政と市民との意識のずれを問題意識に提言を続けている。

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