【若者たちが創る、“異彩のキャリア”】第5回:何にだってなれる/渡辺 玲央(非大卒人材vol.02)後編


若い世代が元気ないと言われますが本当にそうでしょうか?日本の未来は暗いから、若者の未来も暗い?
いえいえ、日本には異彩を放つキャリアを歩みだしている若い世代が生まれています。その中でも、キラリと光る人たち。こうした人たちのキャリアストーリーを独占してしまうのは、もったいない。私たちは、そうしたキラリと光る若い世代のストーリーを発信していきます。

前回はこちら⇒第4回 何にだってなれる/渡辺 玲央(非大卒人材vol.02)前編

聞き手:一般社団法人スクール・トゥ・ワーク 代表理事 古屋星斗
書き手:久保千尋

チャンスを求めて東京へ

古屋:
ジャズバーでのバイト生活と、今のデータアナリストというキャリアが、あと2年で結びつくとは到底思えないのですが(笑)、何か転機があったのでしょうか。

渡辺:
フリーター生活を1年近く続けていたある日、twitterで「ハッシャダイ」という若者を対象とした学歴不問のインターンプログラムの広告が流れてきたんです。面白そうだな、と思ってインターンに参加するために東京に行こうと思いました。

古屋:
そんな風に思い切れる人は珍しいですね。17万人いる高校生就職者の8割以上は地元の県内で就職しているデータがあるのですが、渡辺さんはそうではなく東京に出るという選択をできたのはなぜだと思いますか。

渡辺:
今でこそハッシャダイのプログラムは有名になってきていますが、当時はまだ実績もなく怪しいなとも思いました。調べていくうちに、企業理念が自分の考えに近くて魅力を感じました。例えば僕は、小学生の頃から義務教育に疑問を感じていたんです。学校の成績の良し悪しは、母親のサポートが十分かどうかや、塾に通っているか、先生から気に入られているかなど、副次的な要素も大きく影響すると思います。勉強できる環境があれば成績が伸びるのは当然なのに、そこで人間としての優劣がつくかのような錯覚に違和感がありました。ハッシャダイは、大卒者と非大卒者の「選択格差」のない社会を目指していて、挑戦したい人は環境に関係なく誰でもいつでも挑戦できるんだというところが参加の決め手になりました。
上京初日は、同期の8人と渋谷の居酒屋で食事をしました。何を食べたかは全く覚えていないのですが、期待に胸弾み、ただ楽しかったのを覚えています。同期は今では3人しか残ってないんですけどね(笑)。

プログラムが始まってからは辛かったです。特に訪問販売の営業では、人間ってこんなに冷たくなれるんだなと。ネット回線や電話回線の販売で、テレアポしたり、個人宅をアポなし訪問したりするんですが、怒鳴られたり、警察を呼ばれたこともあって。精神的にも限界が近かったです。もう辞めようかなと思うこともありましたが、同い年の社員の方が根気よく相談に乗ってくれたり、同期や先輩にも助けられながらなんとか半年ほど続けました。

会話が理解できないところからの出発

古屋:
現在の職場であるリクルートに入社したきっかけは?

渡辺:
ハッシャダイの取り組みがメディアに取り上げられたのをきっかけに、リクルートのゼネラルマネージャー(GM)が関心を持ったようで、採用面接を通して僕が選ばれました。ジャズ部の話をはじめ、主体的に行動するところが評価されたのかなと思います。

古屋:
現在のお仕事はいかがですか。渡辺さんはデータ分析の専門性があったわけではないと思いますが、はじめは大変ではなかったですか。

渡辺:
仕事は楽しいです。もちろん経験もなかったですし、最初はプログラムもかけなかったので戸惑いも大きかったですが、周りの人に教えてもらったり、自分でも勉強しながら次第に慣れていきました。最初の頃は、プログラムだけでなく、リクルート特有の社内用語とか、よくわからないカタカナのビジネス用語とかが頻繁に会話に出るので、そもそも何がわからないというか、会話ができなくて困ることが多かったですね。みんな何語を話しているんだろう、と思っていました。

今の仕事は、美容や旅行分野のデータを活用してKPIを出したり、データ分析して、営業さんがクライアントさんと会話する際の資料の元ネタとして活用されています。自分が分析したデータに対して、営業の方や部内の先輩などからフィードバックを貰うことや、「あのデータ、クライアントさんに刺さったよ」と喜んでもらえることが嬉しいです。

いつからだって、なりたいものになれる

古屋:
今後の目標ややってみたいことなどはありますか?

渡辺:
ずっと今の会社にいるかはわかりませんが、少なくともリクルートの中でGMになるくらい成長したいと思っています。自分のようなキャリアの人はほとんどいないので、まずは今の会社に認められたい。そして、データを活用して世の中の課題解決をできるようになりたいですね。

もう一つは、非大卒のコミュニティを作りたいと思っています。慶応大学の三田会など、大学によってはOBコミュニティがありますが、僕のように非大卒で大手企業に勤めている人は圧倒的にマイノリティ。孤独でもあります。後輩たちのロールモデルになるためにも、リクルートでGMを目指したいと思っています。とはいえ、不安なこともたくさんあります。今年も新卒が入ってきて、大卒入社の人たちは僕と同い年が多いのですが、彼らと比べると僕はデータ分析に関する専門的な勉強を何もしてこなかったので、このままでは負けるのではないかと不安になったりします。でも、僕にしかできないことで勝負していかないと、と思っています。

僕は、人はいつからだって何にだってなれると思っていて、僕自身もともとデータアナリストになりたかったわけじゃないのですが、色々な人の影響を受けながら、こうして今の自分がいるように、僕の行動がいつか誰かに良い影響を与えられたらと思っています。


一般社団法人 スクール・トゥ・ワーク
一般社団法人 スクール・トゥ・ワーク

一般社団法人スクール・トゥ・ワーク(代表者:代表理事 古屋星斗)
学生及び非大卒人材に対するキャリア教育事業等を展開しています。キャリアを選択する力の育成を通じて、未来を生きる若者全てが安心・納得して働き、その意欲や能力を十分に発揮できる社会の実現を目指しています。

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