問われる仮想通貨コミュニティの強さ


(NEM INSIDEから引用)

コインチェックの580億円相当の巨額ハッキング事件が発生し、取引所のセキュリティ体制が問題となっています。率直に言って、取引所のセキュリティをハッキングから完全に守ることは困難であるため、映画さながらの資金流出劇は今後も頻発するものと思われます。

さて、そのような状況下において、仮想通貨は信用力を失っていくのでしょうか。筆者は必ずしもそうではないものと思います。今回被害にあった仮想通貨は「XEM」と呼ばれる仮想通貨ですが、同通貨の開発・活用等に関するコミュニティが相対的に整っていることで知られています。

そのため、https://twitter.com/Inside_NEMによると、XEMの開発・活用に関するコミュニティであるNEM財団が流出資金の自動追跡プログラムを開発し48時間以内に実装できると発表しました。その結果として流出した全てのXEMがタグ付けされることによって、同XEMが取引所で取引されそうになった場合にその取引を差し止めることが可能となりそうです。

これには情報提供を受ける取引所側の協力が必要な状況となってきますので、今後はXEMの新たな流出事案が発生した際に全ての取り扱い取引所が同様の対応を行うことを事前に取りまとめておく必要があるかもしれませんが、NEM財団のコミュニティの力が発揮された形となっています。

盗まれたXEMを取り戻すこと・今後の取引所のハッキング自体を完全に防止することは困難かもしれませんが、その換金を防止することによってハッキングの意味を無くす作業ができればハッキング自体のインセンティブを減らすことはできる可能性があります。

今後は各仮想通貨が同様の仕組みを実装することができるかどうかが仮想通貨取引の前提になるかもしれません。今回のコインチェック流出問題の被害にあった方々は残念ですが、事件は仮想通貨を巡る議論を一つ進めたことになりそうです。


渡瀬 裕哉
渡瀬 裕哉

パシフィック・アライアンス総研所長
早稲田大学大学院公共経営研究科修了。トランプ大統領当選を世論調査・現地調査などを通じて的中させ、日系・外資系ファンド30社以上にトランプ政権の動向に関するポリティカルアナリシスを提供する国際情勢アナリストとして活躍。ワシントンD.Cで実施される完全非公開・招待制の全米共和党保守派のミーティングである水曜会出席者であり、テキサス州ダラスで行われた数万人規模の保守派集会FREEPACへの日本人唯一の来賓者。著書『トランプの黒幕 共和党保守派の正体』(祥伝社)は、Amazonカテゴリー「アメリカ」1位を獲得。主なメディア出演実績・テレビ朝日「ワイド!スクランブル」、雑誌「プレジデント」「ダイヤモンド」など。

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