変わる?学校から仕事への第一歩 (第4回 高卒の就職率)


一般社団法人スクール・トゥ・ワークの設立を記念して、当団体の活動の目的と背景を知ってもらうために、当団体の代表理事の古屋さん、監事の小松さんと事務局スタッフで非大卒人材の奥間さんと、座談会形式で、「変わる?学校から仕事への第一歩」の連載をお送りしています。

前回 変わる?学校から仕事への第一歩 (第3回 高校生の就職制度)

高卒の就職率

小松:
第4回のテーマは高卒の就職率です。前回、古屋さんから、「学校の先生方は目の前の生徒たちをブランクなく就職させるというミッションがある」とありましたが、高卒の就職率はどのような状況なのでしょうか?
それでは、今回も古屋さんから教えていただきましょう。

古屋:
高卒就職者の就職率は2018年3月卒者で、驚きの98.1%となっており、一部を除いて正規社員の職についています。この数字自体は1991年以来の高水準ですが、景気が悪い時でも80%台後半の高い就職率に留まっています。”高卒でブランクなく就職する”、という意味では、今の就職指導は間違いなく素晴らしい水準にありますね。

小松:
好景気ということもあって凄い数字ですね。確かにこの数字だけ見ると、一見問題ないように思えてしまいますね。ちなみに、高卒就職者のその後の離職率はどうなっているのでしょうか?

古屋:
「七五三」という言葉があります。これは最終学歴別の3年以内離職率を表す言葉で、今から10年ほど前に内閣府が白書で使うほど一般的に使われました。そのころは高卒は5割ほど離職していたのですが、現在は少々下がって4割ほどの高卒就職者が3年以内に離職しています。若手の離職率が高いのは日本全体の傾向ですが、それにしても高いです。

小松:
私の会社に就職した奥間さんは大事に扱わないといけませんね(笑)。奥間さんは今、22歳ですが、周囲の友人らはどのような状態でしょうか?

奥間:
僕の友人でも高卒で就職した人たちの中には、入社1年も経たずに離職している人がたくさんいます。今でも続いている人の方が少ないように感じます。 離職理由のほとんどが、「思っていた仕事と違かった」です。

小松:
「思っていた仕事と違かった」をもう少し深掘りさせてもらえませんか。高校の時に聞いた話や認識していた話と実際に働いてみたら話が違ったということでしょうか?奥間さんは友人らの話を聞いて、どこに原因があるとお考えですか?

奥間:
はい。認識していた話と大きく違ったということです。学校の進路室を通して就職をした彼らですが、就職先についてよく知らない状態で就職している人がほとんどでした。進路室にある求人票が全てという感じです。もちろん本人たちにもそれぞれ原因があることではありますが、一人一社制なども含めて自由度の少ない中での就職活動は、目の前の内定をとるためにしかなく、彼ら自身がキャリア設計についてよく考えて就職活動をすることを阻んでいるのではないかなと思っています。

小松:
そうなんですね。よく知らない状態で就職していたら、思っていた仕事とは違いますよね。古屋さん、高校生の就職活動では、インターンシップなどはあまり活発ではないのでしょうか?今の大学生は、大学1年生のときからインターン活動をしているイメージがありますが。

古屋:
実は、高校生に対するインターンは行っている会社は結構あるんです。ただ、その会社に就職予定の生徒さんに対して行う形式が多いので、大学生に対するインターンシップとは少しイメージが違うかもしれませんね。あとは就業体験を行っている会社、プロジェクト・ベースド・ラーニングを行っている会社、など高校生向けのプログラムはたくさん提供されていますが、受けられる生徒はひと握りに限定されています。大学生や専門学校向けと比べると、”誰でも応募できる”という「アクセス性」がかなり小さいことが問題なんです。

小松:
やはり大学生の就職活動と比較して、高校生の就職活動は情報が限定されているイメージですね。お話をお伺いしていて、一番の疑問は、高卒就職者の就職率は98.1%と驚異的に高いものの、4割ほどの高卒就職者が3年以内に離職しているわけです。そのまま考えれば、高校卒業後の3年後を基準に考えると、約6割の就職率なわけです。これに疑問を覚えている行政関係者や学校の先生はいらっしゃらないのでしょうか?

古屋:
この質問は非常に難しい問題を含んでいます。早期離職問題、「七五三」問題は政府やメディアでもたびたび取り上げられ、教育関係で知らない人はいないと思います。日本の就職システムは学生から仕事への移行に必ずしも「スキル」や「専門性」を必要としないことに特徴があります。私は日本の最初の仕事の3年間はインターンシップだと思っています。職業経験を経由しないマッチングは当然ミスマッチを生みますし、むしろそれが健全です。不景気になると早期離職率が低下する傾向がわかっていますが、これは若者が「この仕事より自分に向いた仕事がわかったけど、いま辞めても転職できない。だからやる気はないけどこのままいよう」と思うため低下するのです。そして、社会経験をしないうちから、いきなり自分にとって良い仕事に就くのはかなり難しいですよね。ですから、学校にいるうちに、まず考えるべきなのは「自分が将来仕事で何をしたいか」「そのために今なにをすれば良いか」ですね。この点を真剣に考えたうえで偶然の出会いを楽しむ。こういった機会を作り出すことができるよう、一緒に考えたいと思っています。

小松:
そうですね。学校から仕事へ。まさにスクール・トゥ・ワークが論点で、学校にいるうちからキャリアについて考える必要がありそうです。

 

「変わる?学校から仕事への第一歩」連載シリーズ

第1回 はじめに
第2回 大卒人材と非大卒人材の分断 前編
    大卒人材と非大卒人材の分断 後編
第3回 高校生の就職制度
第4回 高卒の就職率
第5回 「七・五・三」現象
第6回 離職した若者はどこへ行くのか
第7回 現在のキャリア教育
第8回 ハローワークの役割
第9回 地域格差
第10回 就職先企業の規模
第11回 初任給の格差


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一般社団法人スクール・トゥ・ワーク(代表者:代表理事 古屋星斗)
学生及び非大卒人材に対するキャリア教育事業等を展開しています。キャリアを選択する力の育成を通じて、未来を生きる若者全てが安心・納得して働き、その意欲や能力を十分に発揮できる社会の実現を目指しています。

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