「Edtech連載・第3回」数学とプログラミングの可能性。AI教育ベンチャーが語る学びの未来(前編)


Edtech特集の第三弾は、社会人を対象にした人工知能・機械学習の教育事業に取り組まれている、株式会社キカガク代表取締役社長 吉﨑 亮介さんとの対談記事です。私自身もキカガクさんへ通い、文系から数学とプログラミングを学びましたが、教育は子どもだけのものではありません。

伊藤
まず、キカガクさんの事業について教えてください。

吉崎
ビジネスパーソンを対象にAI・機械学習についての教育を行っています。教える内容はAIの分野で注目されている機械学習という技術です。
ビジネスパーソンに絞っている理由もあります。大学生になるとAIに関する教育を受ける機会がたくさんありますし、中高生などが学習する目標は基本的にはテストです。一方で、社会人の方はビジネスでの活用がゴールです。社会人が抱える課題意識に対してのアプローチとして、機械学習を教えています。ビジネスパーソンの方が時間を取って勉強することは難しいため、短い期間で学んでいただけるようなカリキュラムを提供しています。

数学についても理論を教えているわけではありません。実務の際に、うまくいかない時にどのようなアプローチができるか、ボトルネックを知っておく必要があります。そのために数学を教えています。
また、今のご時世GUIだけでは機械学習は難しいため、ある程度プログラミングが組めるようになる必要があります。

伊藤
社会人の課題意識に対する教育という観点はニーズもあるし効果的だと思います。
そもそもAIが何かを説明することは難しいと思いますが、どのように伝えるべきだとお考えですか。

吉崎
汎用AIとエキスパートのAIがあります。汎用AIは、ドラえもんと一言で説明します。SF映画を観てもイメージがつくと思いますが、本当に教えていかないといけないのはエキスパートの方です。人間がすでに行ったことのある業務を代替してくれる存在ですかね。

子どもを意識しなければ、あるXを与えるとYが出てくる仕組みです。
もう少し噛み砕いて説明する時は、料理の例を出すようにしています。ロボットと同じである材料を与えると調理をしてくれるコックさんのような存在です。コックさんとして成長するためには修行が必要です。AIでも修行と同じように学習が必要ですが、たくさんデータを与えてあげることになります。データ収集を買い物と置き換えるとわかりやすいと思います。

伊藤
コックの例えは、子どもたちも理解できそうですね。
学校教育についてお伺いします。勉強が嫌いになってしまう子どもたちもいます。私自身も数学が嫌いになってしまった経験があります。どのような学校教育が必要だとお考えでしょうか。

吉崎
なぜ学ぶ必要があるのか、そしてどこに使うのかがわからないというのが今の教育のボトルネックです。好きか嫌いかというよりも、意味があるのかわからないというところだと思います。何かをつくるたために学びが必要だということを理解した上で勉強することが大切です。
さらに、新しいことを勉強すれば、もっと近道できるということを教えることが大切です。
例えば、学校教育の場合では、先生が微分って何?どこに役立つの?と問われた時に明確に答えられるかどうかです。ボトルネックは先生自身がこの点を知らないことが問題だと考えています。

伊藤
私も高校で学んだ微分が、機械学習で役に立つことを知って、意欲的に学習するようになりました。
数学のお話が出ましたが、プログラミング教育についてはどのようにお考えでしょうか。

吉崎
これも数学と同じで、お題に対してクリアするための手段として学ぶということが答えだと思っています。高専に通っていた私は高校1年生からプログラミングを学んでいましたが、全員得意かと言えばノーです。私自身も研究がはじまって、解析ツールとして使い始めた5年生になるまで、授業では習っていたのにも関わらず、まったくプログラムが組めませんでした。
できる人は高専じゃなくてもいますし、お題が与えられないとみんな身につきませんでした。
何かゲームをつくりたいでも良いので、モチベーションの管理からはじめないと、何事も進みません。

また当時はC言語のようなゴールのイメージが持ちにくい言語で勉強していました。C言語はメモリの使い方やアルゴリズム・データの構造という話からはじまりますが、Pythonはゴールのイメージを持って、そこからどうプログラムを組んでいくかを考えることができるので、学びやすくなりました。
子どもたちも、PythonとかRubyを使ってゴールの意識を持ってもらえれば、すぐに組めるのではないかと思います。

<後編に続く>


伊藤陽平
伊藤陽平

新宿区議会議員
30歳最年少の新宿区議会議員。立教大学経済学部経済政策学科卒業。大学在学中にIT企業を設立し、代表取締役に就任。Webアプリケーションの開発やWebマーケティング事業を展開。 ブロガー議員として365日年中無休でブログを更新し、多数のメディアへ寄稿する。また、日本初のAI議員として機械学習を議会活動で活用している。

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