変わる?学校から仕事への第一歩(第6回 離職した若者はどこへ行くのか)


一般社団法人スクール・トゥ・ワークの設立を記念して、当団体の活動の目的と背景を知ってもらうために、当団体の代表理事の古屋さん、監事の小松さんと事務局スタッフで非大卒人材の奥間さんと、座談会形式で、「変わる?学校から仕事への第一歩」の連載をお送りしています。

前回 変わる?学校から仕事への第一歩(第5回 「七・五・三」現象)

離職した若者はどこへ行くのか。

小松:
第6回のテーマは「離職した若者はどこへ行くのか」です。前回、古屋さんがこの点のデータはないとおっしゃっているにも関わらず、この点を深堀りしていきたいと思います(苦笑)。奥間さんは、この離職した若者たちは、感覚では、アルバイトや派遣社員などの非正規雇用の形で働いているとおっしゃっていますが、転職活動をどのようにしているのかなども含めて、もう少し具体的に事例なども踏まえて教えてもらえませんか?

奥間:
僕が知る限りでは、離職した友人たちのほとんどが再就職せずに、アルバイトなどの非正規雇用の形で働いてます。具体例にいうと、これは僕の地元沖縄特有なのかもわかりませんが、 ほとんどが県外にある製造業の会社の工場作業員として、半年や一年などの有期で働いています。いわゆる出稼ぎのような感じで、コンビニなどに置いてある求人情報誌やハローワークの紹介などを通じて応募しているようです。

小松:
たしかに出稼ぎについては、沖縄という地域性もありそうですね。私も大学を出て社会人になって15年ですから、アルバイトはだいぶ昔の感覚です。正規・非正規問題について、古屋さん、教えてもらえませんか?

古屋:
現在の日本で雇用されている人の4割ほどが非正規雇用者です。非正規という言葉を使う際、何がそもそも「正規」なのかと言われますが、フルタイムの労働契約で契約期間が無期の社員が正規雇用なんでしょうね。90年代以降、非正規と言われる働き方の人が増えましたが、所得水準が低いだけでなく、結婚や子どもの有無に至るまで、正規と非正規で差が生まれています。非正規問題はとても大きな問題であり、この場で全体を語ることはできませんが、一つだけ知っておくべきは、”不本意非正規”問題です。非正規にも自分からやりたくて非正規的な仕事をしている人、そうでない人がいます。景気が悪かったためなど、不本意に非正規労働をしている人のほうが社会が救済するべき優先順位は高いということですね。いわゆる就職氷河期世代にはこの傾向が強いと言われ、結果として団塊JrのJrが生まれなかった問題として日本の人口減少を決定づけましたね。現代においては正規雇用でも人手が足りないので不本意非正規は減っていると言われます。ただ、個人的には非正規を選択している理由も様々で、好きな時に仕事ができて楽そうなど、先の見通しがない”本意非正規”は将来的に大きな問題を生む可能性があると思っています。

小松:
確かにそうですね。パート、アルバイト、契約社員、派遣社員など働き方の選択肢が増えること自体は良いことだと思います。本来、正規・非正規の問題は、不本意な非正規問題ですね。また、古屋さんのおっしゃる、好きな時に仕事ができて楽そうなどの理由からの”本意非正規”は危ないですね。これは働き手のリテラシーの問題もあるように思います。楽な代わりにリスクがあるわけで、そのあたりの理解は必要に思います。正規・非正規という観点では、学歴、男女比、年齢、業界別などのデータはあるのでしょうか?

古屋:
残念ながら、総務省「労働力調査」などをみると、学歴が高卒の方のほうが大卒の方よりの非正規の若者が多い結果になっています。しかし男女差が大きく、男性は5%ほどの差ですが、女性は30%ほども離れていたりします。また、入職時点での景気の影響などで非正規の多い世代はやはりあって、就活が「運ゲー」だと言われる所以になっています。もちろん産業種別によって非正規の方の比率は全然違いますし、求められるスキルレベルも違います。情報通信分野のように派遣社員で時間単価が6,000円、といったハイパフォーマーがいる分野もあります。正社員だけが必ず最適解、というのはかなり狭い見方とも言えます。キャリアの方向性によって良い働き方や雇われ方は全然変わってきますから。しかしやはり、安易に楽だから、という選択からは何も産み出さないのは確かですね。正社員のほうが給与や安定性など含め恵まれていることもまた事実ですので。

小松:
就活が「運ゲー」とはなかなかな表現ですね。確かに景気動向で雇用の環境は大きく変わりますからね。さて、今回のテーマである「離職した若者はどこへ行くのか」ですが、実際にはどうなんでしょうか? 同年代の若者の代表ということで、先に奥間さんにお伺いしましょうかね?

奥間:
そうですね。早期離職した高卒の人たちは、やはり非正規として働いている方がとても多いと思います。本意か不本意かは分かりませんが、彼らはそもそも、始めの就職活動の時点で〝仕事=労働〟という考えで、自身のキャリア設計についてはあまり考えてきていないですし、高校の進路指導の中で限られた選択肢から選んで就職しているので、再度就職するとなった時に、具体的にどう行動したらいいのかが分からないんですよね。そして、賃金も一時的にですが多くもらえる、正規に比べるとハードルがそれほど高くないアルバイトや派遣などの非正規で働いているんです。景気動向の影響もあると思いますが、これが実際だと思います。

小松:
自身のキャリア設計についてあまり考えてきていないから、再度就職する時にどう行動したらいいのか分からない。これは印象的なコメントですね。古屋さんはいかがでしょうか?

古屋:
進路指導やキャリアコンサルタントをされている方と話すと、高校を出たときには正規社員の仕事につけても、仕事が面倒になってすぐにやめて派遣やバイトなど気楽な仕事に着く子が心配だ、というようなお話を伺います。相談相手が身近にいないことも大きな問題になっていると思いますし、キャリアを考えるきっかけがないことも課題だと思います。家庭環境もそうかもしれません。いろいろな原因が絡み合って、高卒で就職する子たちの大きな問題に繋がっていると感じますね。

小松:
ありがとうございます。お二人ともに、早期離職した若者たちは、その後、派遣やアルバイトなど非正規雇用になることが多い認識のようです。そして、問題の根っこは、しっかりと自分のキャリアを考えていないことでしょうか。早期離職した若者たちがより良いキャリアを築けるように、やはりキャリア教育が大事ですね!

 

「変わる?学校から仕事への第一歩」連載シリーズ

第1回 はじめに
第2回 大卒人材と非大卒人材の分断 前編
    大卒人材と非大卒人材の分断 後編
第3回 高校生の就職制度
第4回 高卒の就職率
第5回 「七・五・三」現象
第6回 離職した若者はどこへ行くのか
第7回 現在のキャリア教育
第8回 ハローワークの役割
第9回 地域格差


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一般社団法人スクール・トゥ・ワーク(代表者:代表理事 古屋星斗)
学生及び非大卒人材に対するキャリア教育事業等を展開しています。キャリアを選択する力の育成を通じて、未来を生きる若者全てが安心・納得して働き、その意欲や能力を十分に発揮できる社会の実現を目指しています。

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