変わる学校から仕事への第一歩(第7回 現在のキャリア教育)


一般社団法人スクール・トゥ・ワークの設立を記念して、当団体の活動の目的と背景を知ってもらうために、当団体の代表理事の古屋さん、監事の小松さんと事務局スタッフで非大卒人材の奥間さんと、座談会形式で、「変わる?学校から仕事への第一歩」の連載をお送りしています。

前回 変わる学校から仕事への第一歩(第6回 離職した若者はどこへ行くのか)

現在のキャリア教育はどうなっているのか

小松:
第7回のテーマは「現在のキャリア教育」です。 今までの対談で、なんとなく現在の若者たちのスクール・トゥ・ワークに問題があることやキャリア教育の必要性については、読者の皆さんにも伝わってきたかなと思います。では、現在のキャリア教育はどうなっているのでしょうか? 奥間さんは受けたときありますか?

奥間:
キャリア教育といえば、学生の時には、年に数回ほどキャリア講演会があったのを覚えています。同じ地元や学校の卒業生で活躍している方を呼んで話を聞くというような感じです。とはいっても通っていた高校はスポーツが盛んだったので講師はいつもスポーツ選手の方などであまり自分のキャリアを考えるきっかけにはならなかったですね(笑)。

小松:
そうなんですね。私のイメージも活躍しているOBが来てお話をしてくれるぐらいのものです。古屋さん、現在のキャリア教育はいかがでしょう?

古屋:
キャリア教育の歴史は浅いようで古く、20世紀末の1999年には文部科学省の中央教育審議会でキャリア教育の言葉が出てきています。そして2004年は「キャリア教育元年」と呼ばれ学校空間における職業体験などが一気に浸透しました。それから15年も経っていますので、今の20代前半の方たちは中学校くらいからそういった授業を受けている、いわば”キャリア教育ネイティブ”と呼べるかもしれません。ただやっている内容は地域や学校によって様々で、座学や講演、会社訪問、簡単な職場体験などが中心となっています。インターンシップは大学生向きかと思われるかもしれませんが、数週間以上の長いプログラムを高校生向けにやっている企業も出始めています。学校を超えた空間からもたらされるのがキャリア教育の授業です。その際、一つのことを深くやる、というよりは”きっかけ”となるような幅広い出会いを提供されるタイプのものが価値があったとおっしゃる方が多いですね。例えば、まさに奥間さんは学校の課外授業で行われたJICAの若いスタッフさんの講演に心を動かされて、一切してこなかった英語の勉強を始めた、とおっしゃっていましたね。

奥間:
それでいうと僕はキャリア教育ネイティブなんですね(笑)。古屋さんからもあるとおりで、僕は高校1年生の時に、放課後の課外授業で行われていたJICAスタッフの講演会へ参加したことが初めて自分のキャリアについて考えるキッカケになりました。課外授業へはあまり参加する方ではなかったのですが、その時は好奇心もあり、たまたま参加しました。この講演を聞いてからは、正規留学という目の前の目標ができ、今まで一切してこなかった勉強をするようになりました(笑)。高校3年間はそのために勉強を頑張り、3年生の時には学年で一番早く進路決定をしました。今振り返ってみると、あの時の講演会があったから今に繋がっているのかなと思います。

古屋:
たまたま参加した講演会でビビっときた。完全に偶然の産物ですが、一つの授業が一人の人生を変えたわけですね。ちなみに、そうした講演会以外にキャリア教育的なことを行ったことはありましたか?

奥間:
そうですね。普段は放課後にまで講演会に参加することは滅多にありませんでしたので、本当に偶然だったのかもしれません(笑)。その他はというと、始めの方でお話したような、スポーツで活躍しているOBの話を聞く講演会などがほとんどでしたね。あとは、某教育系の民間企業が出しているマークシート式の適職・適学検査を受けさせられました。あまりはっきりとは覚えていませんが、「どのような大学が向いているか」が答えで、とても違和感を覚えた記憶があります(笑)。

小松:
キャリア教育は実施されていることは分かりましたが、理解度といいますか、効果についてはいかがでしょうか?キャリア教育を実施したところ、実施前と比較して、統計的にも改善が見られたなどあるのでしょうか?

古屋:
キャリア教育の効果は様々な視点から学術的な検証がされています。大小いろいろな意見がありますが、共通の見解としては単なる座学よりは、簡単でも良いので何かアクションを伴った方が効果があるということです。ただ、出口が高校卒業時の進路選択の姿勢や大学入学後の活動、就職先など、かなり短期的な視野にとどまっていますから、よりキャリアづくり全体にどういったキャリア教育がより良い影響を与えるか、という意味では今後の検証が必要な分野だといえます。その意味では、まだまだ試行錯誤の黎明期にあるといえると思いますね。

小松:
大卒の方々が感じる中学や高校就職方法の違和感の根底にあるものは中卒・高卒就職者のキャリアへの捉え方もあるように思います。キャリア意識があれば、なぜ私たちは1人1社なのか、なぜ製造業ばかりなのかなどなど中卒・高卒就職者がもっと声をあげていいように思います。若者たちのより一層の活躍のためにもキャリア教育は欠かせません。社会変革を目指すと制度を変えようという話になりがちですが、それだけに留まることなく、若者たちにも自分たちのキャリアをしっかり考えてもらいたいですね。

 

「変わる?学校から仕事への第一歩」連載シリーズ

第1回 はじめに
第2回 大卒人材と非大卒人材の分断 前編
    大卒人材と非大卒人材の分断 後編
第3回 高校生の就職制度
第4回 高卒の就職率
第5回 「七・五・三」現象
第6回 離職した若者はどこへ行くのか
第7回 現在のキャリア教育
第8回 ハローワークの役割
第9回 地域格差
第10回 就職先企業の規模
第11回 初任給の格差


一般社団法人 スクール・トゥ・ワーク
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一般社団法人スクール・トゥ・ワーク(代表者:代表理事 古屋星斗)
学生及び非大卒人材に対するキャリア教育事業等を展開しています。キャリアを選択する力の育成を通じて、未来を生きる若者全てが安心・納得して働き、その意欲や能力を十分に発揮できる社会の実現を目指しています。

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