「Edtech連載・第3回」数学とプログラミングの可能性。AI教育ベンチャーが語る学びの未来(後編)



キカガクHPから引用)

<前編からの続き>

吉崎
また昔習った例で言うと、アルゴリズム論という授業では、ランダムに並んだ数字を大きい順に並べるソートなどを勉強しました。今ではライブラリも充実しているため、必ずしもソートの中身を全て理解しておかないとプログラムが組めないわけではありません。それよりも大事なことはこのソートを使って、価値のある「何」を作ることができるかだと思います。時代と共に学ぶべき内容も変えていくべきですよね。
このアルゴリズム論など大事ではあるが必須ではない知識の講義を行い続けているのは、先生の知識が一世代古くなっているからです。私自身が大学院で勉強した時は、このご時世Pythonで絶対解析するべきなのに、Rを使っていました。一人の教育者が学びを怠るが故に、これから羽ばたけるチャンスを持った多くの学生の機会を奪ってはいけないと思います。そういった理由で、私自身は最先端の技術を学びながら、その技術をいち早く受講生に教えられる環境を株式会社キカガクとして作りました。

伊藤
教育者も学び続けなければなりませんね。人工知能が発展してくると、教育はどのように変わってくるとお考えでしょうか。

吉崎
イメージしているのは、パーソナライズされた教育です。最近ではこれをアダプティブラーニングと呼んでいますね。人工知能が入るからと言うわけではありませんが、本来は一人ひとり学びのペースが異なるのでそれに合わせて教育のコンテンツを展開していくとか、今と同じ授業を行う必要はありませんよね。
これは夢物語的な余談ですが、GANと呼ばれる画像を自動的に生成するがあるので、学生が好きな顔の先生が教えることが起こるかもしれません。
AIに限ったことではありませんが、Webの発展により一人が素晴らしいカリキュラムを作れば、あとは全国何万人でも普及させることができまるようになりました。今では、スマホで一流講師の授業が受けられるサービスもありますが、田舎と都会など場所を問わず教育の質が一定に保たれるというところに大きな可能性を感じています。

伊藤
まさに、Edtechですね。オンライン学習と言えば、Udemyでも教育コンテンツを出されています。しかし、事業全体として見るとリアルの教育に重点を置かれている印象です。何か理由があるのですか。

吉崎
社会人はなかなか腰を据えて勉強の時間を取ることが難しいです。そのため、集中して勉強できる環境のオフラインに価値があると思っています。もう一つオフラインにこだわっているのは、起業家としての戦略です。提供しているカリキュラムが良いか悪いかを自分で判断をすることはできません。そのため、私自身が教壇に立ち、受講生の顔色を見ながらABテストを続けています。基本的な部分は同じことを教えていますが、少しカリキュラムの構成を変えたり教える順番を変えたりと試行錯誤をしています。今までの教育は教える側が教えたいことを教えていましたが、本来は教わる側が学びたい内容を教えるべきだと思い、このような工夫をしています。
そして、Udemyに出したのは、そのオフラインでのABテストが一区切りし、学びたい人にベストな内容を作り上げることができたため、オンラインでも配信を行いました。そのようにオンラインとオフラインの性質を見極めて使い分けています。
また、今後注目している領域は、CtoCによる知識のシェアリングです。具体的に言うと、オンラインでAIを教え合うサービスです。AirbnbやUberなど「空き」を有効活用するシェアリングエコノミーに注目が集まっていますが、知識のシェアリングはさらにその上をいきます。従来のシェアリングエコノミーでは「空き」を埋める以上の効果はありませんが、知識のシェアリングは「アウトプット」によって「インプット」が磨かれるため、教える側に「お金(空きを埋めた対価)」以外にも「更に磨かれた知識」も手に入ります。しかも、AI人材の育成は急務になっており、そのボトルネックは教える側の不足であるため、その社会的問題も解決します。このようにアダプティブラーニングのようにIT技術によって解決するEdtechもありますが、人間同士の知識のシェアをより効率化できる仕組みづくりにフォーカスを当てたEdtechを我々は進めていきます。またスタートアップ企業として、この事業を大きくするために資金調達もはじめており、支援していただける方もお待ちしております。

伊藤
Edtech時代には、質の高い教育コンテンツを用意することが鍵になってくるでしょう。オフラインが存在するからこそ、オンラインの質が高まるという考え方は大切です。大変参考になりました。本日は、ありがとうございました。

吉崎
ありがとうございました。

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伊藤陽平
伊藤陽平

新宿区議会議員
30歳最年少の新宿区議会議員。立教大学経済学部経済政策学科卒業。大学在学中にIT企業を設立し、代表取締役に就任。Webアプリケーションの開発やWebマーケティング事業を展開。 ブロガー議員として365日年中無休でブログを更新し、多数のメディアへ寄稿する。また、日本初のAI議員として機械学習を議会活動で活用している。

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