民泊に対する条例を用いた過剰規制は立法趣旨に反する


中央政府が経済成長戦略の柱の1つとして位置づけている民泊について、東京23区のうち18区が独自規制に乗り出す状況となっています。3月15日から事業者の届け出がスタートするのに際し、各区は住宅宿泊事業法に基づいて条例で区域指定・営業時間指定を行うことができます。

同法の第一条に定められた目的には、

第一条 この法律は、我が国における観光旅客の宿泊をめぐる状況に鑑み、住宅宿泊事業を営む者に係る届出制度並びに住宅宿泊管理業を営む者及び住宅宿泊仲介業を営む者に係る登録制度を設ける等の措置を講ずることにより、これらの事業を営む者の業務の適正な運営を確保しつつ、国内外からの観光旅客の宿泊に対する需要に的確に対応してこれらの者の来訪及び滞在を促進し、もって国民生活の安定向上及び国民経済の発展に寄与することを目的とする。

となっています。つまり、「観光需要に的確に対応して来訪・滞在を促進する」ことが立法趣旨となっており、適切な措置を講じた上で民泊を積極的に推進することが当然のものと理解するべきです。

しかし、第四節雑則に定められた「条例による住宅宿泊事業の実施の制限」による条例による特例的な区域制限や期間制限の規定を利用し、住居専用地域への区域指定や曜日を極端に制限した条例が制定されたことによって、民泊事業は事実上の営業が不可能な状況に追い込まれています。

そもそも住宅宿泊事業法という名称にもかかわらず、住宅専用地域で最初から利用を制限し、更に土・日・祝などの週の一定期間しか民泊を営めない地域が続出(合計16区)しています。それらは立法趣旨に明記された宿泊需要に的確に対応したものと言えるのか非常に疑問です。

また、民泊はホテル施設の過剰供給などを抑制し、柔軟な宿泊施設の供給体制を構築することができる強みがあり、予め土・日・祝などの特定曜日に用途を限定する形が主流となるとその良さを存分に生かすことが難しくなります。

各区による条例による制限は、あくまでも法の雑則に過ぎず、23区議会はその立法趣旨を踏まえた対応を行うべきです。


渡瀬 裕哉
渡瀬 裕哉

パシフィック・アライアンス総研所長
早稲田大学大学院公共経営研究科修了。トランプ大統領当選を世論調査・現地調査などを通じて的中させ、日系・外資系ファンド30社以上にトランプ政権の動向に関するポリティカルアナリシスを提供する国際情勢アナリストとして活躍。ワシントンD.Cで実施される完全非公開・招待制の全米共和党保守派のミーティングである水曜会出席者であり、テキサス州ダラスで行われた数万人規模の保守派集会FREEPACへの日本人唯一の来賓者。著書『トランプの黒幕 共和党保守派の正体』(祥伝社)は、Amazonカテゴリー「アメリカ」1位を獲得。主なメディア出演実績・テレビ朝日「ワイド!スクランブル」、雑誌「プレジデント」「ダイヤモンド」など。

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