UKのP2P融資プラットフォーム事情とは?


(Funding Circleから引用)

イギリスで普及しているFintechのサービスの一つにP2P融資がある。P2Pとは元はITの領域で使われている用語で、サーバーを通すのではなく、各コンピューターが直接繋がるモデルのことを表す。これがTechの分野で応用され、金融サービスでは、銀行を主体に預金されたお金が融資に回るという流れではなく、Fintech会社のサービスをプラットホームとして、個人をはじめとする投資主体が直接中小企業やその他個々人に融資する仕組みとなる。今回はその中でも最も普及している三つのサービス、Funding Circle、Zopa、RateSetterについて紹介する。

まずFunding Circleだが、オンラインで個人が約20ポンドから2000ポンドの範囲で中小企業やベンチャー企業等に直接融資可能なプラットホームとなる。2010年のサービス開始より、7万以上の投資家が約45000の企業、プロジェクトに投資・融資し、その額は述べ30億ポンドに及ぶ。平均として投資家は年6.6%のリターンを得ることができると言われる。

■ Funding Circle
https://www.fundingcircle.com/uk/

 

次にZopaであるが、2005年にサービスを開始し、これまで約30億ポンドの融資を行ってきた。借りる際の金利は年に約3%から35%と幅広く、最も信頼できるローン事業者としての複数回表彰を受けた実績がある。銀行より低い金利での融資を売りにしており、一日当たり約200万ポンドを融資する。申請はオンラインで手続きを完結させることができ、早期返済ペナルティもない。ローンは車の購入、家の修繕、結婚式、他のローンの整理等、様々な用途に利用可能となっている。

ビジネスモデルとしては、ローン組成時の手数料と、投資家がローンを終了し現金化する際の手数料1%が収益源となる。しかし2016-17年には、借り手の不足によりサービスが一時停止され、借り手が決まらない貸し手、約15000人はウェイティングリストに登録される事態となっていた。これは審査に受かる借り手が少なかったり、他のP2Pサービス、銀行との融資に関する競争激化が原因と言われる。

■ Zopa
https://www.zopa.com/

 

もう一つ、広く使われているP2P融資サービスとしてRateSettersが挙げられる。2010年のサービス開始から、合計約20億ポンドを融資し、Zopaと同じく融資事業者を対象とする様々な賞を受けてきた。一般的に、投資のリターンは約3%、借り入れの際の金利は約7%となる。個人から中小企業まで様々な借り手が利用し、2014年にはオーストラリアでもサービス開始した。2010年のサービス開始より、すべての投資家が投資額を回収し、リターンを得たことを強みとする。現在、約6万人が貸し手として登録し、借り手の登録は約40万人となる。平均投資額は約23000ポンドで、昨年の投資額は合計約6億ポンドと言われる。

しかし、昨年には借り手の3社の経営が悪化し、約8000万ポンドのローンの返済が難しくなる事態に直面した。その際、RateSetters自信がこれらの企業のビジネスの立て直しに介入し、投資家への返却をサポートしたと言われ、融資サービスの経営の難しさが窺える。

■ RateSetter
https://www.ratesetter.com/

 

日本の文脈に置き換えても、FXやビットコインからリターンを得ようとする個人と、銀行からの借り入れに苦労している中小企業を結びつけることができれば、そのwin-winの効果はかなり大きいものとなると考えられる。金利の調整も大切だが、Techがもたらす経済活性化への貢献機能も大きいと思われる。


山中 翔大郎
山中 翔大郎


国際機関等でのインターンシップや難民支援の社会起業立ち上げを経験。急速に進化するテクノロジーの活用による国内外の様々な課題解決を目指す。一橋大学大学院社会学研究科修了。外資系投資銀行、ケニアの投資ファンド勤務を経て現在はロンドンビジネススクール、ファイナンスコース在学中。

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