これまでのことは、キャリアカウンセラーの今のために起こった 後編


今回は、神奈川県の小田原出身の26歳、濱本葵さんにお話を伺います。引っ越しが多く、お金のない子ども時代を経て、高卒でキャバクラ嬢や携帯販売、一時はニートも経験した濱本さん。現在は、埼玉でキャリアカウンセラーとして仕事を探す若者に寄り添い、支えています。

前回 これまでのことは、キャリアカウンセラーの今のために起こった 前編

ニート時代に知った、「キャリアコーディネーター」の存在

 

濱本:
8か月くらいニートしたんだけど、そのときの税金がすごかったのよ。前年度の給与が結構あったから急に来て、それはちょっと考えてなかったぞ、と。
それで貯金が全部なくなったときに、「ああ、自分って、ひと月生きるのにこれぐらい必要なんだな」っていうのを改めて知れた。それもきっかけだったなあ。息するだけでお金かかるんだな、とか、税金って待ってくれないんだなとか、勉強になったよね。お金の出入りとかをそこで理解することができて。で、簿記の資格がとれる訓練校に通いはじめた。今までの仕事は、人と話して、ポップを作って、データ管理して在庫管理して、動きっぱなしだったから、一回ちゃんと手に職をつけようと思って。でも、今までやってきたこととこれからやりたいことを訓練校で考えたときに、「私事務じゃないな」って思った。同じことをコツコツやるのが苦手だってそのときはじめて気づいて。携帯ショップのときも、できるできないとかじゃなくて、先にゴールがあって、そこに向けてとにかくやらなきゃいけない……っていう状態でずっといたから、自分が何が好きか、何が不得意か、何も考えなかったんだよね。それでもある程度できたから、「私天才なんじゃないかな」って本気で思ってた。これとってって言われた商材とれるし、20歳で店長ってすごくね?とか。たぶん同年代よりもわりとお給料もらっていて、そこらへんの男より強いと思ってた。そのときはね(笑)。すごく自信があった。でも、社会から離れたときにそれがなくなって、「ああ、私仕事してないとなんの意味も見いだせないな、何かしなきゃ」って思った。そのとき、職業訓練校にキャリアコーディネーターの国家資格を持ってる人がいたんだよね。で、そんな仕事があるんだ! って思ったのが、まずひとつ伏線というか、きっかけだったかも。同じクラスにすごく目立ってる子がいて、その子が最初に仕事を決めたんだよね。「わたしエージェントやるんです」って。そのときエージェントって言葉をはじめて聞いて、「エージェントってなんだろう?」って思った。調べてみたら「仲介人」って書いてあって、具体的に何やるんだろうなあって思ったんだけど(笑)。

「縁でしかない」今の会社との出会い

 

濱本:
就職活動日っていうのが訓練校のスケジュールに組み込まれていて、その日は「ハローワークで求人票三枚持ってきてください」っていう課題だった。でも、ハローワークは条件でしか仕事を見てくれない。自分は、こんなにも不安に思ってるのに。訓練校もあと1か月くらいで終わっちゃうし、すごく不安なのに、なんでハローワークの人はこんなことしか話してくれないんだろう?とすごく思ってた。仕事探しをサポートしてくれるはずなのに、しっくりこなかったんだよね。で、とぼとぼしながらハローワークを出たら、たまたま声かけてきたのが今の会社の社員だったの。じゃあちょっと話聞いてみようかなってなって、「事務職で探してるんです」って話したんだよね。それで、これまでの経歴とか、どういう思いで転職活動をしてるのかみたいなことを話していたら、「事務じゃないですよね」みたいなことを言われて。「ええっ?」って。で、事務の求人のほかに、営業の求人も持ってきてくれて。それから、「最後になんですけど、よかったら、うちの説明をさせてもらえませんか?」って言われて、キャリアエージェントにならないかって言われたんだよね。それで話を聞いて、自分のことも話して、「こんなに話聞いてくれるんだな」っていうハローワークとのギャップがすごくあった。さらには、「エージェント」とか、「キャリアコーディネーター」とか、なんとなく聞いてきた言葉が、今この場で「やりませんか」って言われてるって、縁でしかないなって思って、ちょっとチャレンジしてみようと。それが今働いているアウスタとの出会いだった。

これまでのことは、キャリアカウンセラーの今のために起こった

 

濱本:
それで、今の会社の選考を受けることになった。志望理由のところに、「心細い転職活動に、一筋の光が差し込んだ感覚」って書いた。最初に話したとき、今まで一番がんばったこととかつらかったことはなんですかって聞かれて、泣きそうになりながら話してたんだけど、そこまで聞いてくれる人って今までいなかったなと思って。いま向坂さんに話してることも、それまで一切人に言ってこなかったの。そのときに、「ああ、言っていいんだ」って思ったんだ。仕事を探すのも、条件だけで選んだら、事務職なんだよね。でも条件だけじゃない、事務職だけじゃないって言ってくれた。みんな一回挫折をしているみたいな仲間が集まってて、会社の雰囲気もすごくよかったし。そういう総合的な部分で合致して、ああここで働きたいなって思った。

向坂:
なってみていかがでしたか?

濱本:
楽しくて寝れなかった!
この会社に入って、ちゃんと自分と向き合うことができるようになってきた気がする。「なりたい自分」とか、最初なにも出てこなかったんだよね。でもそれがちゃんと出てくるようになったし、なんで辛いのか、何で苦しいのかもわかるようになった。まわりが理解してくれるのもあるし、相談に来る人に、仕事の条件だけじゃなくて「これまでどういうことをしてきましたか」っていう話を聞く機会も増えたから。聞いた話を自分にあてはめて、私はどうだったんだろうって考えられるようになったからだと思うんだよね。会社に入って、取り戻すことができたなあってすごく思ってる。

向坂:
何を取り戻したのでしょうか?

濱本:
自分の時間とか、自分のやりたいことを考えること。
今の会社に入ったのはすごくいい選択だったと思ってる。これまでのことはみんな今のために起きたって思う。必要なことが必要なときに起きたって。だから後悔はない、戻りたいとかもない。あのときこうやってたら・・・というのはあるけど、それがあったからこそ今があるって思うから。これまでの出来事は、今キャリアカウンセラーとして働くためだったんだって思える。

向坂:
お聞きしていても、ああ、よかったなと思います。本日はいろいろ聞かせてくださって、ありがとうございました!


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一般社団法人スクール・トゥ・ワーク(代表者:代表理事 古屋星斗)
学生及び非大卒人材に対するキャリア教育事業等を展開しています。キャリアを選択する力の育成を通じて、未来を生きる若者全てが安心・納得して働き、その意欲や能力を十分に発揮できる社会の実現を目指しています。

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