ミドルベンチャーから画家へ。理想のあり方を追求する異彩女子に迫る


自分で考え、行動し、キャリアを切り開く若手ビジネスマンを対象に行うインタビュー連載「若者たちが作る異彩のキャリア」。
今回は、人材系ミドルベンチャーから画家への転身という異色のキャリアを歩む鈴木奈々さんをご紹介します。

多くのビジネスマンが悩む自分のあり方。その難題に彼女はどう立ち向かったのか
経験なしのフィールドでどのようにして不安を克服し、チャンスを掴みとったのか
余すところなくお伝えしたいと思います。(インタビュアー:築嶋宏宜)

直感を信じて決めたファーストキャリア

 

築嶋:
かなり振れ幅の大きいキャリアチェンジを行なっていますね。まずは新卒入社とその経緯、ファーストキャリアについて聴かせてください。

鈴木奈々さん(以下、敬称略):
ファーストキャリアは経営人材を紹介する人材系ミドルベンチャーに入りました。色々と考えることはありましたが、結論、自分がビビッとときたというのが入社の一番の決め手です。元来私は、「考える」というよりも「感じる」タイプ。自分がいいと思ったことを直感的に選択して行動するタイプなんです。

だからファーストキャリアを決める最終的な決め手は直感なんです。そういうこともあって、「就職活動」というのは私にとっては地獄みたいなものでした。

築嶋:
地獄ですか。具体的にはどういったことでしょう?

鈴木:
考え方が強制されるんですよ。いわゆるゴール思考、目的思考という、ゴールを規定して、そこから逆算的に次の選択を決めるというものなのですが、私はどうにもこの考え方が苦手でした。

自分がいいと思ったことを実行する。その上で新しいことが起こり、またその都度いいと思ったことを直感的に判断する、私はそういった積立型の思考の方が性に合っており、ずっとそういう意思決定をしてきました。しかし就職活動、というステージに立たされ、強制的に考え方と思考回路の変更を迫られたのは苦痛以外の何物でもありませんでしたね。

築嶋:
確かに就職活動ではそういったフシがありますね。そういった苦痛を感じながら、どうやってファーストキャリアを決定したのでしょうか?

鈴木:
苦しみながら、それでも最終的には、その制約の中での直感を信じて決めました。

経営者に惹かれた。ということと、社員が全員自分のあり方に則って仕事をしていた、ということの2点です。就職してからはがむしゃらに働きましたよ。身体を壊すぐらいに。

自己裁量での仕事を奨励してくれる会社ではありましたが、自分の裁量で決定する部分に行きつく間もなく、必須業務に追われる日々。自分の能力不足のせいですが、結果を出そうにも、出し方がわからない。能力不足を補なうために、行動量と時間量で勝負しようと決め、朝6時半から23時まで働き続けました。

結果、体力的な限界と、自分の思考が縛られることでの精神的な限界が祟って、救急車で搬送されました。これまで信じて生きてきた「直感」というものが、この時はがんじがらめに縛られ、何も浮かんでこなくなっていました。本当に苦痛でしたね。涙が出るほどに。

この時、自分の根本的なあり方を押し殺して生きていたことに気づいたんです。

つらい過去から生まれた自分の在り方

 

築嶋:
大変辛い経験でしたね。お話しいただきありがとうございます。
、、、さて、先ほどからあり方というワードがよく出てきますが、鈴木さんにとって、あるべきあり方とはどういったものなのでしょうか?

鈴木:
私にとってのあり方は「直感」と「感謝」です。その場その場で、良いと思ったことを判断していく。理屈じゃなく自分が確信でき、すべての結果に責任を持てる選択をすること。その上で生じた結果はいい悪いに限らず、全て感謝する。これが私の生き方であり、あり方です。

築嶋:
どうしてそのようなあり方に行き着いたのでしょうか?

鈴木:
中学の時の原体験が非常に大きいです。暗い話にはなってしまいますが、この時期は私にとって暗黒期でした。外科手術の後遺症が残り、学校ではいじめられ、家庭は崩壊。自分のいる場所がなく、どうしても自己肯定感がもていない状況でした。そんなとき、おばあちゃんに言われたんです。

「辛い時は試練。いい時は感謝しなさい」

心の奥底に深く突き刺さりました。

その時から、どんな状況でも自分の置かれた環境に、そして関わる人に、感謝していくことを決めたんです。それからというもの、自分の生活に変化が現れました。いろんな人と打ち解けられるようになり、感謝でご縁が繋がっていくようになったんです。

そこからです。私がこのあり方を大切にしようと思ったのは。

築嶋:
なるほど。とても強い原体験です。それが抑圧されていたとなると、相当辛い経験でしたね。

鈴木:
そうなんです。救急車で搬送されてからは療養期間をとったのですが、どうにも、本来の自分のあり方を取り戻すことはできませんでした。

築嶋:
それはそうですよね。初めて出た社会で、今までの依り代だった生き方が否定されたのですから。

鈴木:
そんな時、尊敬していた自社の経営者から、今の恩師を紹介してもらったんです。その方は自分で会社をやっている経営者でした。ご多忙にも関わらず、お話を聞いてくださって、対話を通して、忘れていた私の大切な価値観、あり方を思い出させてくれたんです。

築嶋:
ひょっとして、その方が鈴木さんの画家への転向のカギを握っているのですか?

鈴木:
はい。ふとした時に、その恩師に、以前絵を描いていたことを話したんです。そして、過去に描いた絵を見せたら、こう言ったんです。

「今日からお前画家や!俺が買うから。なんの絵でもいいから描いてこい!」

耳を疑いました。でもどうやら本気みたいなんです。この時からです。私の画家人生が始まったのは。

築嶋:
すごい恩師ですね、、!全く違う領域、やったこともないこと。不安はなかったんですか?

鈴木:
もちろんありましたよ。最初の会社を辞める辞めないの話もありましたから、ストレスで6キロ痩せました。でも当初は画家で生活していこうなんて思っていなかったので、とりあえずこれだけ描いてみようって感じで描いたんです。

築嶋:
何を描いたんですか?

鈴木:
自宅の梅の木を描きました。本当に、ただなんとなく、梅の木を描いたんです。言語化ができない何かに惹かれて、描いてみようと思いました。恩師に頼まれた手前、退路がなかったのもありますけどね。(笑)

描き上げた後、恩師にお披露目会の場を設けてもらいました。そこには、これまでの自分では到底会えないようなすごい経営者がたくさんいらっしゃって、本当に緊張しました。

けど、決めていたんです。もう、社会でまことしやかに言われている「論理」に縛られながら話すのはやめようって。だから、ぐちゃぐちゃになりながら、自分の感じた何かや、なんでこの絵を描いたのか、どういう想いで描いたのかを説明しました。自分だけの言葉で、自分だけの想いを語ったんです。多分、聞いていた人は何を言っているかほとんど理解してなかったように思います(笑)。

それでも、大絶賛してもらいました。この時に参加していた方々に次々と予約をもらって、今の画家としての生活があるんです。これが、自分を縛っていた社会のしがらみから解放された瞬間で、本来の自分のあり方に自信を取り戻した瞬間でもあります。

築嶋:
「直感」と「感謝」ですね。

鈴木:
はい。店舗に飾る絵の依頼や、家に飾る絵の依頼などもいただくのですが、その人が一番喜ぶ形で、一番いいと思ったことを、直感に従って形にしています。だから会う人には、名刺がわりに絵なんかもプレゼントしているんです。出会った人には必ず感謝。出会ったこと自体に感謝。自分のあり方に純粋に生きているので、なんの不安も、心配も、ストレスもありません。今の人生に納得していますし、自分のあり方が正しいからこその今だと確信しています。

築嶋:
本当に素晴らしいですね。ありがとうございます。それでは最後にメッセージをお願いします。

鈴木:
はい。メッセージはたった一つです。あり方を大切にしてください。ということ。社会に出た後は、数値、目標、タスク、ノルマなんてことが、本当に「正」としてまことしやかに語られています。しかし、それより大切なのは、あり方だと思います。自分がどう言った人間で、どういう風に生きていきたいのか、それを突き詰めて欲しいと思います。

最初は社会から外れた意思決定をすることに、悩むこと、心配すること、怖いことなど、たくさんあると思います。でもあなたのその素敵なあり方に触れた時、必ず共感し、賛同してくれる人が出てきます。だから、自分を曲げずに、強く生きていって欲しいと感じます。

築嶋:
ありがとうございます!画家としてのこれからの活躍に期待です!本当にありがとうございました!


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一般社団法人スクール・トゥ・ワーク(代表者:代表理事 古屋星斗)
学生及び非大卒人材に対するキャリア教育事業等を展開しています。キャリアを選択する力の育成を通じて、未来を生きる若者全てが安心・納得して働き、その意欲や能力を十分に発揮できる社会の実現を目指しています。

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